Suddenly, Last Summer

ジャズ菊地成孔のアルバム「南米のエリザベス・テーラー」のことが頭にあったので、Tenessee Williams原作の映画「Suddenly, Last Summer」をテレビ東京の放送で見た。Elizabeth Taylor (Catherine Holly),Katharine Hepburn (Violet Venable),Montgomery Clift (Dr.Cukrowicz)などが出演。州立精神科病院ロボトミー、Dementia praecox、フロイト的治療など、古すぎて長い解説を付けないと分からないくらいだ。内容については特に面白いこともないので解説しても仕方がない。もったいつけた割にはたいしたことのない話である。Elizabeth Taylorは、わたしには魅力的ではなかった。Suddenly, Last Summerで検索すると、舞台『セバスチャンの庭』に関係していることが分かる。セバスチャンはSuddenly, Last Summerの登場人物であり、彼の愛した庭には不思議な植物がたくさんある。
Dementia praecoxはドイツの精神医学者クレペリン先生が決めた言葉で、直訳すると「早発性痴呆」となる。20代から始まる認知障害のことを指す。その後ドイツのプロイラー先生がSchizophreniaと呼ぶように改めた。日本ではこれを精神分裂病と呼んでいたが、最近は統合失調症と呼ぶことになった。テレビ東京の担当者は見識があり、変に訳さないで、デメンチアプレコックスとそのままでセリフに出していた。何重にもデリケートな言葉なので、それがよいと思う。
この病気は時代により、環境により、重症度や経過が異なるようで、不思議なことだと言われている。最近は軽症化が言われており、なぜなのか議論があるが、分かっていない。

ハリウッドの昔の白黒映画といえばヒッチコック「Notorious」も続けて見た。Ingrid Bergmanは美しかった。しかし特段に賛美したくなるほどでもない。今の日本ならもっと美しい人がたくさんいる。脚本としてもたいして評価できない。Ingrid Bergmanの人生がもみくちゃになる少しだけ前の時期だろう。Ingrid Bergmanが映画の仕事をしても、こんなおままごとには飽き飽きするという気持ちも分からないではない。