10月24日
WE’RE ALL ALONE /RITA COOLIDGE
思い返して、人生の節目に、心に残る曲がある。私の場合はこの曲だ。むかしアンリ菅野が歌っていた。そしてもちろんボズスキャッグスが私の時間を彩ってくれた。最近ではリタクーリッジのバージョンがよかった。いくつかの場面でわたしはその時間を生きていた。

All togetherではなくall aloneの方向にmy loveがあると感じている。人生の長い経験の結果としてそうだったと思う。それがわたしの限界でもあったし、(わずかな)深みであったとも思う。

幸いなことにまだ人生はあり、愛はわたしを祝福してくれるかに見えることもある。素直に喜んでみようと思う。風に吹かれ大きなものの手のひらに包まれてみようと思う。

その煩いは私の心の中の過去にあるだけで、現実の現在には、ない。つまり過去というもの自体に実質がない。たとえば老年期認知症の人々の病態に接して、「過去はないのだ」と悟らざるを得ない。過去は私の心の働きが保持しているだけのものである。過去から解き放たれてしまえば、その空洞には風がかようだろう。今日の風を味わいたい。あるいは今日吹き、あるいは明日吹かない。それでいいのだと思う。

過去はない。つらかった過去に別の方向から新しい光をあてて「祝福された現在」にしてしまおうではないか。それが知恵だ。それが精神療法だ。

たとえば音楽はいつも「現在」であることを思い出して欲しい。心の中で、昔の場面で流れていた音楽を反復していても、そのメロディーを感じているのは必ず今なのだ。今響いている音楽に心を寄り添わせていれば、それでいい。それで穏やかに人生の時間は流れてゆく。

今以外には何もないのだと知る。

そしてあなたには余計な一言であるが、医学部の解剖実習のようなものを経験してみたらよいだろうと思う。徹底的な虚無の上に、なおも意味を築こうとする意志をはっきりと持つに至るまで、待つのがよいと思う。明確に見つめられた虚無の上に何かを築くことは途方もない力業だ。そのことを感じ、それでもなお挑む気力をはっきりと意識するまで、待つのがよいと思う。

そこに「見える暗闇 Visible Darkness」があるなら、見てみよう。わたしが一緒に見てあげる。あなたは一人ではない。

WE’RE ALL ALONE (かなり自由訳/For the memory of the day of our two lives.)
RITA COOLIDGE
Outside the rain begins and it may never end.
So cry no more, on the shore a dream..
Will take us at the sea.
Forever more, forever more.
Close your eyes and dream and you can be with me.
Lead the way, through the cave of ourse
Long forgotten now, we’re all alone.
We’re all alone
涙の替わりに雨が降る
だからもう泣かないで ここは夢の海
ずっと 永遠に
目を閉じて信じてご覧 僕たちはずっと一緒だ
世間は誰も知らない 二人だけの世界

Close the window , come alive,
And it will be allright
No needs to bother now.
Let it out, Let it all begin.
Learn how to pretend.
窓を閉めて 二人だけの世界においで
もうなにも煩いはない
始めよう 二人だけの舞台

Once a story’s told it can’t help but grow old.
Roses do, lovers, too, so cast your seasons to the wind.
And hold me dear,oh hold me dear.
どんな恋も色あせる
バラも 恋人たちも 色あせる
だから時を忘れよう
いまは 抱きしめて ただ強く

Close the window, come alive,
And it will be allright.
No needs to bother now.
Let it out, Let it all begin.
窓を閉めて 二人だけの世界においで
もうなにも煩いはない
始めよう すべてを始めよう

All’s forgotten now, we’re all alone.
Oh, we’re all alone.
世間は知らない 二人だけ ここに二人だけ

Close the window, come alive,
And it will be allright
No needs to bother now.
Let it out, Let it all begin.
Hold it to the wind my love.
窓を閉めて 二人だけの世界においで
もうなにも煩いはない
始めよう 時を忘れて 愛を始めよう