Fly me to the moon 翻訳 と 心身症

Fly me to the moon

恋愛100%の歌。ジュリー・ロンドンの歌が好き。
最近では宇多田の歌っているのが好き。

翻訳するかと思ったけれど、不可能。
愛に満ちていればすべてはすんなりと納得できます。

Fly me to the moon (Bart Howard) (Artist: Frank Sinatra, Count Basie)
Intro:
Poets often use many words to say a simple thing.
It takes thought and time and rhyme to make a poem sing.
With music and words I’ve been playing.
For you I have written a song
To be sure that you’ll know what I’m saying,
I’ll translate as I go along.

Fly me to the moon
Let me sing among those stars
Let me see what spring is like
On Jupiter and Mars

In other words, hold my hand
In other words, baby kiss me

Fill my heart with song
Let me sing for ever more
You are all I long for
All I worship and adore

In other words, please be true
In other words, I love you

ここで、
what I’m saying = I love you

music and words = song
で表現していると書いてある。

図式化すると、

鑑賞者–作品–作者の意図–作者–作者の背景–多分無意識的、集合意識的状況

しかしこの図で、「作者の意図–作者–作者の背景–多分無意識的、集合意識的状況」の部分は
一体化して、ときに順番が前後することになる。

鑑賞者は作品を糸口として、
作者について考えたり、作者の意図していることについて考えたり、
あるいは、作者は意図していないが、見えてくるものを考えたり、
そのことについて、自分と共有しているものとか、
集合意識的に分かち持つものとか、
あるいは作者の無意識についてとか、
いろいろなことを同時並行的に考えている。

そのような状況を考えると、
翻訳の深さをどこにするかは、難しい問題である。
深さという言葉も適切ではない、どこに焦点を当てるかということだ。

有名な話で、
原文に I love you. とあるものを
「今夜の月はきれいですね」と翻訳して、どうかということがある。

ここは翻訳者が前景に出てくる。
どんな読者を想定して、その人たちに何を伝えたいのか、
ややこしい問題になる。

学術論文を学会雑誌用に翻訳するというのなら、
こんなことも考えなくていいのだけれど。

日本語で「月がきれいですね」と言った場面で、
この作詞者は「Fly me to the moon 」と言ったわけだ。

In other words, で何度も言いかえている。
比喩であったり、身体化であったり、
まるで心身症の診察みたいだ。

あいつには頭が痛いよ
という文章を
直訳するのか、
あの人は私を悩ますと
一回もとに戻して直訳するのか。

診察というのは、
頭痛の本当の意味に到達することだ

頭痛という身体化した比喩は何を意味しているのか
治療者が気付くのではなく
相談者が気付くこと

翻訳と似たことをしている