2685-2700

2685
本多ウラさんの悪循環
・破瓜型分裂病者の悪循環(薬と引きこもりと刺激。RとD。)
分裂気質→ドーパミンレセプター増加→刺激が増大してドーパミンが多すぎる状態になると→幻覚妄想状態(特に被害妄想)→ひどい目にあった、もう決してそんな刺激に自分をさらしたくないと考えて、さらに引きこもる→レセプターさらに増大
・このプロセスのどこかで、陰性症状が形成されるプロセスが付加されている。引きこもりも固定してしまえば陰性症状のようになる。しかしそれ以外に、たとえばドーパミンアップの時に、前頭前野神経細胞を毒するような仕組みがないか?
陰性症状を促進・固定するメカニズムがどこかにあるのではないか。
・こうした悪循環を防ぐためには、引きこもらずに、適度の活動ができればよい。そのうちにレセプターとドーパミンは適正な関係に落ち着いてくる。しかしそれができない。普段は引きこもり。決心すると過剰な活動に打ち込んでしまい、ドーパミン過剰になってしまう。ちょうどよい活動ができないのはなぜなのか。ここにも重要な病理が隠されていそうである。→?
・老人が痴呆病棟にいると、刺激過少になる。レセプターが増大する。何かの刺激で、レセプターには過剰なほどのドーパミンが出る。そのとき被害妄想状態になる。被害妄想を抑えようとして、ニューロレプティックを使うと、ますますレセプターは増えて、妄想になりやすい体質を準備してしまう。こうした悪循環にはまっているのが、本多ウラさんである。
・痴呆老人が無為無欲になるのは、脳神経の廃用性萎縮の他に、上のような、「過敏さへのcopingとしての無為」の側面がないか。

2686
悪循環
引きこもり→R↑→(刺激)→D↑→幻覚妄想(陽性症状)→さらに引きこもり
これを切断するような生活指導が精神分裂病のデイナイトケアである。

2687
エリスの論理療法
感情は思考の産物であり、思考を変えれば感情も変えることができる。不適切な感情は不適切な思考から発生する。
C(Consequence)はA(Activating event)によって引き起こされるのではなく、介在するB(Belief system)によって引き起こされる。
●トラウマの病理と結合することができる。
トラウマが直接に症状を引き起こすのではなく、解釈が介在している。
●記憶の二種との関連。物語記憶の系列になっていれば、解釈(スキーマ)の問題がある。しかし物語記憶の系列にはいることなく、トラウマが身体と直接に結合しているような場合、不適切も何も、介在する解釈が抜け落ちているのではないか?
●そもそもそのように、物語的記憶の系列にはいることができなかったのは、記憶に組み入れるときに、適切な解釈ができなかったからではないか。
1 解釈不能のもの→物語的記憶にならず、身体や感情と直接に結合する
2 解釈できたが間違った解釈であった→認知療法で対処できる
3 解釈できたし正しい解釈であった→症状は起こさない

2688
「多重人格の治療戦略」(高石昇)
・歴史的に、精神科医の関心は催眠から精神分析へと移る。そのころ多重人格は減少したが、分裂病への誤診も可能性としては考えられる。
・「多重人格は自然に発生する自己催眠である」
・催眠研究者Hilgard,E.R.「新解離理論」
意識とは本来必ずしも単一のものではなく、複数の下位システムがありこれを中央コントロール機構が選択的に促進したり制御しつつ、全人格は形成されていると仮定する。ある状況下で、ある下位システムが活性化されると、その中央コントロール機構が減退し、それに伴ってある程度自律的に働くようになる。消極的立場をとるようになったこの上位システムは「隠れた観察者」hidden observerと呼ばれるように、観察するだけの立場をとる。
・多重人格では正常なコントロール機構の発達を妨げるような「基底欠損」basic faultが自我にあり、発達論的にみて早期の部分対象関係に見られるような解離が存在していると考えられる。
・治療関係に交代人格を促進する側面がないかどうか内省してみる必要がある。また、交代人格の生活史については患者の訴えを額面通り受け取ってはならない。
・「座り込んだので横にさせると交代人格Bが出現する。」
●こうした記述は、多重人格の出現の仕方について、特有のテンポラルプロフィールを考えさせる。ちょうど血管性の病変に対応するような特徴がある。わたしはかつて神経症の出現について血管性の病理を考えてもよいのではないかと提案したが、多重人格の場合にも、考えてみてよい問題ではないか。ある特有の部分に血液が流れ込み、賦活されると人格として働きだす、そのようなスイッチングシステムがあるのではないか?
・「これから思ったことは、主人格を通じて表現するように努めてみよう」
・「周りの人は主人格のみを対話の相手とする態度をとるようにする。」
・治療が再度の外傷体験にならぬよう心がける。患者の資質や能力に応じたテンポを守る必要がある。
・一日数回自己催眠を危機に際して使いうるようになるまで練習させる。
・多重人格患者はほとんど例外なく催眠感受性が高いので、誘導そのものは容易である。催眠が解離と過去の外傷体験の想起の促進因子であることを考えれば、これは病態そのものを引き起こすことである。適量の利用が望ましい。
・基本的には暖かく、受容的であることが必要だが、患者に社会的不適応をもたらす病態を支持することにならないよう、留意する。
自律訓練法は、自己催眠の一種である。ここで言われている自己催眠とどの程度異なるのか、吟味が必要であるが、一応自己催眠の一つであるとすると、分裂病と思われていても、自律訓練法が有効な場合には、解離性の病理の混入があると考えてよいのではないか?
自律訓練法がまったく無効な場合にはとてもすっきりした分裂病だといえるかもしれない。
●トラウマというならば、分裂病体験は非常に大きなトラウマであろう。したがって、分裂病の病理には、トラウマによるものも含まれていそうである。

2689
多重人格の歴史・文献的考察(関根義夫)
フロイトははじめ、二重意識、解離の傾向、類催眠状態が神経症(ヒステリー)の根本現象であるとした。しかし後には抑圧を採用した。幼児期の実際の性的外傷こそがヒステリーの原因であるとして疑わなかった彼が自己分析を通じて、幼児がすでに近親相姦願望を持ち、自我はこの願望を抑圧しようとして葛藤するということに気付いた。「彼らの父母、大人に誘惑された記憶の回想や空想は、実はむしろ自分自身の大人に対する性的な欲求、とりわけ、父母への近親相姦願望の投影である」と結論した。ここに精神分析が成立した。
・Hilgard:Hidden observer:自分の精神活動を「統合」している自我とは別に、すべてを知覚しているもう一つの認知機能が存在している。
●ここの部分、解説に異同がある。「統合している自我」が交代人格に人格を占領されると、いったんは背後に退くが、知覚だけは続けているとするものもある。ここでの解説のように、別の認知機能としている場合もある。
・垂直分裂は解離。水平分離は抑圧。解離は交代人格の確認と、その人格との信頼に裏付けられた治療関係のなかでの十分な話し合いによって解決可能である。
・多重人格者の自己催眠の問題。→催眠操作によって多重人格状態が作り出せることから。→自分でも気付かないうちに自己催眠を乱用している可能性を指摘。→そのような乱用をしなければならない病者の苦悩を受けとめることが治療として大切である。

2690
トラウマを解離によって切り抜ける。自己催眠を学ぶ。下位自我をコントロールする上位自我の機能不全(基底欠損)が固定する。解離傾向が固定する。
解離によって切り抜けるということは、現実を直視しないということだ。精神病性の機制によって切り抜けようとしている。

2691
多重人格障害の臨床症状(Putnamなど1986)
・宮崎事件や犯罪との関係で注目。
・適正な治療により回復可能であるにもかかわらず、診断の困難さゆえに見逃されている例が多いのではないか。
・多重人格は解離性障害の重症型であり、その特徴は一人の人間のなかに二つ以上の独立した異なる人格が存在することである。
・仮説としては、トランス状態ないしは自己催眠現象の説が一つ。また、状況依存的であり、交代人格の創生は治療者を喜ばせようとする患者の反応であるとする説もある。
・男性は外に暴力を向け、社会病質的行為を示す。
・混乱した家庭環境の出身者。虐待された子供はしばしば成長して虐待する親になる。
・臨床像は抑うつ気分、明らかな気分変動、自己破壊、自殺、不眠、性機能不全であるため、感情障害を疑われる。
・生活史上、ある交代人格が別の人格の体験を覚えていないというエピソードが頻回にあり、それはしばしば小児期にまでさかのぼる。これこそが、多重人格性障害におけるもっとも特徴的な症状である。たいていの患者には、行動と体験を持続的に認知しているという交代人格が存在する。●本当?これをコントロール部分とする人もあるようだ。それとは別に、下位人格の一つが持続的記憶を蓄えているというのだろうか?
・患者の精神症状の問題の多くは、交代人格葛藤のアクティングアウトに由来している。自己破壊的行為となってあらわれる。診断や治療のために催眠を用いても、臨床症状を変えることはないようである。
●いわゆる解離性の病理をとらえる態度ではない。うつとして扱われるというのだから。?

2692
一般に心因性疾患を論ずる場合と、心的外傷からの病理を論ずる場合の違いは何か?あまり違わないような気もするのだが?それは粗暴すぎるか?

2693
多重人格と家族機能(斎藤学
・従軍兵士や強姦被害者の外傷後遺症をモデルとしたPTSD概念は、その成立経緯から見ても、児童虐待や配偶者虐待の精神心理的後遺症を包含しえない。幼児期に愛着対象を剥奪されたり、愛着対象から打擲、ののしり、性的虐待などを、予測不能な形で、長期間受け続けたものを対象とする外傷後遺症の概念が必要である。
・無力感や自己卑下などの自己認識の障害
・加害者の理想化や復讐願望にとらわれるなどの加害者についての認識の障害
・他者を信頼できないなどの人間関係の障害
・自暴自棄や絶望などの世界観の障害
・これらを含むものとして、複合型PTSD、また複雑PTSDなどが提案されている。
・その中核には、健忘、解離、駆逐(Verdraengung:抑圧と訳されてきた)されたものの回帰(再上演reenactment)がある。
・(症例について)友人も母も、患者の人格解離については受容的であり、これに誘導されるかのようにして交代人格の登場が見られるようである。
・小学生の頃注意集中困難と学習障害。漢字を書くと鏡像のように左右が逆になった。
・おぞましい体験は健忘という形で、意識から駆逐されるが、これに成功しなかったものでは「無感覚」「凍えた」「ガラスの後ろにいる」などの感情鈍麻(離人症)によって体験の苦痛を緩和する。これにも失敗した者が、転換性障害や身体化障害、自傷行為、自殺企図、一過性の精神病(解離性フラッシュバック:健忘の破綻に伴う体験の再上演reenactment)、ドラッグの乱用などを多発する。

2694
解離性同一性障害の成因(安克昌
・すべての解離が病的であるわけではない。白昼夢や一過性の軽い離人症は日常的非病理的解離現象である。
Steinberg:解離症状を五つの中核症状に分けた。健忘、離人、現実感喪失、同一性混乱、同一性変容。解離性疾患には解離性健忘、解離性遁走、離人症性障害、特定不能解離性障害解離性同一性障害がある。DIDはもっとも重症である。
・病因としては、解離しやすさ(解離傾性)と心的外傷がいわれている。
・Kluftの四因子説とBraunの3Pモデル。
・患者は高い催眠感受性を示す。しばしば自発性トランス様状態に陥る。催眠は「制御され構造化された解離」であることから、催眠感受性と解離傾性(解離能力)は同じであることが知られている。
・四因子……1解離能力、2外傷、3解離性防衛の形態を決定し、病態を形成するような影響力と素質、4重要な他者が保護と立ち直り体験を与え損ねたこと(neglect)。
●3が分かりにくい。具体例はあがっているが、すっきりしない。
・「隠れた観察者現象」は人間の認知システムが多重であることを示唆し、交代人格間の認知の違いを説明する。
・Braunの3P。脆弱性因子(解離能力など)、促進的事件(外傷)、永続的現象(サポートの不足など)。
・高度の催眠感受性を持っている人は物事を外傷的に体験しやすい性質を持っている。
●これにどういう意味があるか?進化論的に考えられるか?
・小児期の心的外傷は患者の解離傾性を強める。
・小児期心的外傷を1型……単発性外傷、2型……多彩、多発性、長期的外傷の二つに分ける。2型に解離症状が出現しやすい。慢性的に心的外傷にさらされている子供は、「自分じゃない」「痛くない」「何も起こらなかった」と否認することでその苦痛から逃れようとする。自己催眠は自己意識、記憶、感覚を変容させることで、この否認をさらに強め、子供を精神的に非難させてくれる。こうして子供の催眠感受性は増大させられる。
・心的外傷は解離を促進する。子供は皆、複数の異なる行動意識状態を持っていて、その間を行き来している。これらは発達過程において徐々に統合されてゆく。ところが、反復する心的外傷を受けた子供は、行動意識状態の分離を進めることによって、ある種の記憶や自己感覚を切り離そうとする。これが解離である。こうして行動意識状態が充分に統合されないままに成長した人は、成人になっても解離しやすい性質を持ち続けている。
●分かる。しかし、これがダブルバインドの話のようにしぼんでいかないという保証もない。
●意識行動状態とは、下位人格セットである。部分人格セット。
・Ross:DIDに至る四つの経路
児童虐待経路(陽性外傷)……根本的な問題は虐待者への愛着にある。すなわち、子供は強烈な心的外傷に衝撃を受けたにもかかわらず、無力であるゆえ、生存のために虐待者に愛着し続けなければならない。このために解離して、愛着のための交代人格を作る。小児期に他人から虐待を受けた場合より、親からの虐待を受けた場合に、患者の解離傾性は高くなる。
●主人格は愛着し、副人格が憎悪する?上の記述では副人格が愛着するようだが?どちらか?どちらもある?
2ネグレクト経路(陰性外傷)……親が精神病の場合など。依存型性格が多い。
虚偽性障害……反社会型が多い。催眠感受性は低いのに、DESは高得点。
4医原性……カリスマ的治療者により宗教的洗脳に似た過程が施された場合。
以上のうち、1が典型的。現在症は同じでも、病因論的に異質な亜型が存在することを意味している。
・Allison:上の1は交代人格で解離により生じたもの、2から4は想像上の友人であり、想像により生じたものである。交代人格は生存のために生み出され、年齢や役割が一定している。想像上の友人は願望充足のために想像されたもので、その都度言うことが違っていたりする。
●なるほど。しかし2の場合には混合しているような気もする。
●1の場合にも、サポートがしっかりしていれば、重篤にはならないだろう。つまり、2の要素であるネグレクトが1の場合にも関与している。そしてこのサポートの欠如が病因として重要ではないかと考えれば、Allisonのように区別することは難しくなるのではないか。想像上の友人はやはり解離性障害としては二次的な重要性しか持たないのではないか。

2695
攻撃性と順位性と性衝動は、つながっている。猿の社会ではこれらは一体である。

2696
芸術において、高次の産物と低次の産物を区別することができる。(多分)
強迫症状は高次のものと低次のものとに区別できる。(これも多分)
他人に対するお説教も、高次と低次を区別できる。単に自分のために語っているのか、相手のために語っているのか。これは大いに区別できると思う。

2697
看護婦の集団は、BPOみたいに振る舞っている。理想化と脱価値化が激しく交代する。仕事として反応しないで感情的に反応する。
ここの看護婦たちの連絡が不充分でちんぷんかんぷんなことになる様子を見ていると、BPOの内部でこのようなばらばらに事態が起こっているのではないかと連想される。

2698
スプリッティングと多重人格(岡野憲一郎
BPOとMPDではスプリッティングは共通で、BPOでは投影や外在化の機制を用いる点が異なる。
・ボーダーライン的なもの……極端さ、唐突さ、アクティングアウトの傾向、背景には深刻な不安、恐怖、極端な気分の変調、さらには想像しがたい空虚感ないしは自己評価の低さ。情緒的な苦痛や不安に対する防衛としてスプリッティングを用いている。
・自分自身の悪い点や弱い点について他人から非難や攻撃を受けることに耐えられない場合、私たちはしばしば開き直り、非難してきた相手を悪い対象と決めつけて非難し返すことで自己を正当化する。この機制を投影ないしはより一般的に外在化と呼ぶ。
・スプリッティングしたものの投影は、自分の分が悪くなったときの条件反射的な他人への非難、責任転嫁のテクニックである。近親者の態度から身を持って学習している場合がある。ただしこのような投影を促進するような情動的な苦しみも想定するべきだろう。
●DIDやACは外部に責任を帰属させて安心する典型である。投影を促進しているのではないかと疑う。
・自分の弱さや悪い点を直視することに非常に強い苦痛が伴う場合、より頻繁に投影や外在化が用いられ、ボーダーライン的振る舞いが顕著になる。
・近親者による虐待の場合、口を封じたり、罪悪感を抱かせたりする場合がある。結果として子供は孤立を深める。罪悪感を植え付けられていると罪を外部に着せることができない。
●投影して、他人のせいにしてしまえれば、BPOの仕組みになる。DIDのような事態にはならずにすむ。どちらも大変ではあるけれど。
●あるいは、相手をまるっきりの悪と決めつけることができれば、孤立のなかで深刻に悩むこともない。善であると思いたいのに思うことがかなわない、そのような状況で納得できないままに対象を心の部分に丸ごと独立した形で取り込んでしまう。しかしそれは未消化であり、自己の内部に組織化(organize)されない。
●自身のあとで地面が揺れることを恐怖するのと、他人への信頼が揺らぎ、苦悩するのとは質が違う。
・投影は、誤って植え付けられた罪悪感を排除し、自分自身を救出する手段ともなる。

2699
原因の外部帰属を推進する治療は安易である。
たとえば、外来に主人の悪口を言いに来る患者がいる。あなたは悪くない、ご主人が悪い、もう別れてしまいなさいよなどと言って時間をつぶす。北口クリニックで、他の医者の患者が紛れ込んできて、その医者とはそんな話になっているらしかった。
これは治療としてどうなのか。
うっぷんを晴らすという点では役に立っている。医者という立場の人が、主人を悪く言う憂さ晴らしにつきあってくれて、その場を慰められる。
しかし一方、原因を外部に帰属させるだけで、ことがすむとも思えない。むしろ、医者が外部帰属に加担することで、患者が自分のことを見つめ直す機会を奪っていると考えられる。
患者のどのような部分と同盟しているかを考える必要がある。「主人のせいでめちゃめちゃだ、これ以上我慢しなければならないのか」と語り、「それはご主人が悪い!あなたはよく我慢をした!」と応じる。それは一時しのぎとしてはそれでよい。しかし患者の病的部分と同盟してしまっているのではないか。

カタルシスだと言えばそうだろう。ここでガス抜きをすれば、それでまた日常生活が続けられる、だからそれでいいのだと言えば、それもそうだ。しかしそれでいいのだろうかと考える面もある。

原因の外部帰属を肯定してもらえば、患者は喜ぶだろう。しかしその態度は、患者の自己責任の回避に加担するだけではないか。
そこまで考えなくても、患者の欲しいものを一時的に与えて、落ち着けばそれでいいではないかと言うだろうか?

2700
セレネースは何に効いているのか?
1 上位からの抑制が欠損したので、それを補う作用。膝蓋腱反射が脱抑制により大きく起こって困るので、セレネースで抑制する、そのようなイメージ。
2 レセプターが増加している状態のところに、ドーパミンが急激に増大する、そんなとき幻覚妄想状態に対して、レセプターに蓋をして、過敏状態を抑える。