人間の知識と感覚の限界。抱朴子より。

抱朴子 より

牛の蹄のあとの水溜りで泳いでいる、一寸ばかりの
ぼうふらは、天下に広い四つの海があるなどとは
夢にも思わないであろう。
果物のたねの中を匍い廻っている、針先ほどの木食い虫
は、世界はこれがすべてだと思うであろう。
彼らに果てしなき海ばらのことを告げ、
宇宙がいかに広いかを教えようとしても、
嘘だと思って信じようとはすまい。

世間の人は自分の臆断を信じ、自分の短見にたよる。
今まで積んできた知識に慣れて、
見なれぬ物を怪しむ。
(抱朴子 より。仙人の道を説く一説)

実際、これが人間の限界である。
原理的に知識と感覚の限界である。